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TFHD GROUP MAGAZINE

統合報告コンテンツ

2021.8.31

豊かな発想で、
未来にフィットする価値をつくる

2021年5月に策定した長期ビジョン「GROUP VISION 2030」では、当社グループのステークホルダーとして「未来社会」を新たに追加しました。本座談会では、未来を担う若手社員と東急不動産の榎戸取締役がサステナブルな社会の実現と会社の成長について語り合いました。

(左から)
東急不動産株式会社 取締役 執行役員 榎戸 明子
東急不動産キャピタル・マネジメント株式会社 佐藤 七海(2019年入社)
東急不動産株式会社 住宅事業ユニット 首都圏住宅事業本部 知花 太樹(2019年入社)

活気ある持続可能な街をつくりたい

榎戸:今日は若いお二人と意見を交わすのを楽しみにしてきました。東急不動産は創業当時からまちづくりに携わってきた会社です。お二人とも入社して3年目ですが、理想とするまちづくりを考えたことがあると思います。例えば、どんな街が好きですか?

佐藤:私が好きな街は、ドイツのミュンヘンや二子玉川です。どちらも大きな公園があって豊かな自然と、人々の暮らし、働く場が一体となっています。さらにミュンヘンは環境への意識がとても高い街です。

知花:私はオランダのアムステルダムですね。運河と自転車中心の社会。公園が多く、大きな建物もありますが、そのすぐ傍らには緑や水が豊かにある。健康的な街です。

榎戸:お二人の話を聞いていると若い世代が考える街への期待が変わってきたと実感します。ストレスの多い社会だからこそ、緑が必要であり、オフィス、住宅、商業施設、ホテルなど、さまざまな機能が共生する社会が求められているのでしょう。まさに今、広域渋谷圏で進めているようなまちづくりですね。デベロッパーを志望したきっかけについても聞かせてください。

佐藤:私は父の転勤で色々な街で暮らしてきました。小学生の頃は大阪のニュータウンに住んでいて、活気のある街だった記憶がありましたが、大学生になってから久しぶりに訪れてみるとシャッター商店街に。ほんの10年間ぐらいでこんなにも寂れてしまっていたことに衝撃を受けました。一時的ではなく、持続的に続いていく街をつくりたいと強く思ったことがきっかけでした。

知花:私は都市開発によって建物をつくり、人の流れが生まれることへの関心が入社の動機でした。現在は分譲マンションの企画を担当しているので、まちづくりの視点からすると「点」の規模です。重要性が高まっている環境問題の解決やDX社会の実現には、「面」としてのまちづくりにおいても推進する必要があります。将来的には再開発などの「面」の開発を担当できるようになりたいです。

榎戸:二人とも、よく社会課題を捉えていますね。事業活動を通じて社会課題を解決し、未来社会に向けて持続可能なまちづくりを行っていくことは、当社の使命でもあります。知花さんは住宅事業ですから、用地買収から竣工まで一通り経験を積んでから大きなプロジェクトに携わる。まちづくりを理解するうえでは良いキャリア形成になると思います。

経験を積み、付加価値を生み出す人財に

佐藤:私は入社して初任で出向し、不動産信託受益権の取得とファンドの組成、投資家の募集を担当する部署の配属になりました。意気込んで仕事を始めたものの、分からないことばかりなうえに、投資家や取引先からは問い合わせの連絡がどんどん入ってきます。「新入社員なので分かりません」と弱音を吐きそうになりました。でも、この会社の担当者は私であり、新入社員であるかどうかは、相手には関係のないこと。任せてもらっている以上自分がやらなければと意識を変えました。最初は聞かれたことに答えるだけで必死でしたが、業務の本質を理解していなければ相手の求める説明や業務はできないと実感し、まずは自分が納得して腑に落ちるところまで深く理解することを心がけました。

榎戸:2019年度から2年間、東急不動産キャピタル・マネジメントの取締役を務めていたので、佐藤さんの会議報告や仕事に対する姿勢をみて、自分の責任で仕事をやり切ろうという意識を強く持ちながら業務にあたっている姿が印象的でした。

佐藤:ありがとうございます。今は、これまでの経験を生かしながら、単に業務をこなすだけでなく、自分の携わっている案件の価値をいかに向上させ、投資家に還元できるかを意識するようになりました。

知花:付加価値については私も日々、課題感を持って取り組んでいます。最も強く意識したのは入社2年目の時、新型コロナウイルスの感染拡大によって、担当していた分譲マンションの現場に足を運べなくなった時のことです。当初は現場の進捗が非常に不安でしたが、私が行けなくても工事は順調に進捗していたのです。施工会社との契約がある以上、設計図に従った建物の工事は私がいなくとも進んでしまうことにそこで気が付かされ、自分がいる意味とは何かを改めて考えさせられました。工事現場の責任者と直接会い、課題をともに解決し、異なる視点で提案するからこそ、設計図以上の建物が生まれ、お客さまに届けられる。それこそが自分の付加価値であると考え、また同時に対面でのコミュニケーションの重要性に気づかされました。

榎戸:平常時とは異なる状況で仕事に取り組むなかで、自分の付加価値とは何かを考えたのはとても素晴らしいことです。入社2年目のような早い時期に気づいたのは、貴重なことだと思います。お二人がこれからたくさんの経験を積むことによって、自身や仕事に付加価値を生み、価値を創造できる人財となることを期待しています。

知花:コロナ禍になってさまざまなことが劇的に変化したからこそ、考えさせられました。榎戸取締役は、これまでのキャリアで最も大変だった時はいつですか?

榎戸:2008年のリーマン・ショックです。当時、ファンドを推進する部署にいました。リーマン・ショックによって、これまで培ってきた関係が失われていく一方で、支えてくれた方々がいました。そのステークホルダーときちんと信頼関係が築けたからこそ、危機を乗り越えられました。もちろん今でも関係は続いています。やはり、お客さまとのつながりで大切なのは信頼関係であり、信用の積み重ねですね。

環境経営やDXについて

榎戸:当社グループでは5月に発表した長期ビジョンの全社方針として、環境経営とDXを掲げました。この二つの方針についてどう思いますか? 環境については、若い方の関心が高いと感じています。

佐藤:全社方針の環境経営は、社会の流れを反映していると思います。昨年、新型コロナウイルス感染症の影響が出始めた頃、大型案件の投資募集を担当していましたが、先行きが不透明との理由で多くの企業が投資を控えました。しかし、ある会社が環境認証の取得を条件に投資を決定してくれたのです。投資判断における環境の重要性を強く認識しました。

榎戸:環境の大切さやお客さまの求めていることに気づく良い機会を得ましたね。

知花:私たちの世代は学校教育で環境の大切さを学んできました。これからのマーケットの中心となるのは私たち世代であることから、会社が環境経営を打ち出したのは合理的な選択だと思います。一方で、環境配慮の取り組みは、消費者にとってメリットを感じづらいものです。分譲マンションでは、売主だけでなく管理組合にとってもメリットがなければ永続的な取り組みになりません。分譲マンションにどのように導入すればよいか、住み続けることで環境に貢献できるサービスの検討など、日々問題意識を持って取り組むようにしています。

榎戸:環境意識を高く持って、自分の仕事に向き合っているのは頼もしい限りです。若い世代が積極的に取り組んでくれれば、会社の環境への感度がさらに上がっていきますね。もうひとつの全社方針はDXです。社内ではDXにおける業務の省力化を進めています。人にしかできない仕事の時間を創出することが狙いです。

知花:物件現場の確認や周辺の調査、関係者とのコミュニケーションなどは、人がすべき大切な仕事ですね。

佐藤:一方で、デジタル技術にアクセスしづらい人々が取り残されないようなDXも進めていくべきだと思います。デジタル化が進み、オンラインサービスが一般的になりましたが、仕事やお客さま、自分を取り巻く環境からも、まだデジタル化の普及には差があると感じます。 

知花:その点は私も感じています。また、人口減少・高齢化という現在の日本社会において、技術革新の享受は、人や地域で限定される可能性もあると考えています。例えば、ドローンによる配達や自動運転のシステムなどは、街のなかに一定の実施範囲を区切って実行すれば、効率的・生産的なシステムが構築されるでしょう。ただ、範囲を区切ることは技術革新を享受できない人を決めることでもあります。まちづくりでは、行政も関係しますし、難しい課題です。

榎戸:急速に進むデジタル社会ではありますが、ステークホルダーの視点に立って、事業ではソフトや人でしかできないサービスの部分も磨くことが必要ですね。同時に「東京ポートシティ竹芝」のようなスマートシティで生み出したDXの知見を、建物だけでなく、街に広げ、そこで検証された有効なDXを、また別の街で活用していくことも大切です。

柔軟な心と頭で、社会へのアンテナを高く張り続けてほしい

佐藤:先ほどのDXも含めて、技術革新の進化とともに、きっと「住まい方・働き方・過ごし方」も変わっていくはずだと考えています。リゾート地で働くワーケーション、オフィスを持たない100%リモートワークの会社も誕生しています。賃貸住宅の新しいかたちも誕生する予感がしています。「シェアリングエコノミー」や「サブスクリプション」、「アドレスホッパー」などのトレンドが住まいの場面にも入ってくるとのではと思います。

知花:私も仕事や暮らしの場の選択肢が広がることに同感です。だからこそ、さまざまな経験を積んで、選ばれる街をつくれるようになりたいです。

佐藤:当社は総合デベロッパーであり、その新たな価値観を実現できるはず。私もぜひ、そういった未来へと続いていくまちづくりに携わっていきたいです。

榎戸:お二人のような若手社員は、豊かな発想を持ち合わせています。その柔軟な心と頭で、社会へのアンテナを高く張り続けてください。その努力が「選ばれ続けるサステナブルな会社」を実現し、5年後、10年後の世界にフィットする価値をステークホルダーに提供すると思います。