曾有の震災から10年が経ちました。被災された皆さまには、改めて心よりお見舞い申し上げます。当時の経験を通じて私が学んだのは、「飛び交う不確かな情報をもとに、対応方針を頭から決めつけてはいけない」ということです。以来、常に最悪の場合を想定し、環境の変化が及ぼす影響を考えながら、素早く判断する習慣が身につきました。
この10年、グループ横断で復興支援活動を継続してきました。こうした取り組みは、支援先だけでなく、参加した従業員にも大きなプラスになっています。SDGsやESG経営を実践・達成するためには、従業員一人ひとりが正しい道徳観と倫理観を持ち合わせていなければなりません。誰しも子どもの頃は、理想とする大人像をめざしているのに、次第に理想像から離れてしまいがちです。被災地支援に携わったことで、理想の人間像への意識を呼び戻すきっかけになったと思います。
足もとのコロナ禍が収束しても、テレワークの定着などデジタル化の流れは止まらずに、私たちの生活は大きく変わるでしょう。震災やコロナ禍を、単なる災厄ではなく社会の大きな変化として受け止め、新しい未来を創造する契機にしていきたいと考えています。
2021年3月
代表取締役社長 西川 弘典